M-1 2010 敗者復活戦

皆さんご存知でしょうか。1月12日から1月26日にかけて動画配信サイトGyaOにより順次、敗者復活戦の映像が公開されていることを。


そのおかげで、決勝当日に行われた敗者復活戦生配信を見逃した方生配信が途中から地上波に切り替わってから全然ネタを映してくれなくて激怒していた方ももう一度敗者復活戦を楽しめるようになりました。


そこで今回は、お笑い通の間では決勝戦をしのぐほどに1年で最も見る価値のあるイベントといわれていた敗者復活戦について感想・考察を綴ってゆこうかと思います。

ちなみに、配信は2月いっぱいで終了とのことです。



また、制作上の都合で
*スマイル・ダブルネーム・デスペラードセルライトスパ・井下好井・LLRトレンディエンジェルギャロップロシアンモンキーブレーメンスーパーマラドーナ・千鳥・磁石・東京ダイナマイト・ゆったり感・タイムマシーン3号


以上のコンビの漫才は配信されておりません。
理由は知りません。けっこう多いですね。


まあ実際に見てもらうのが一番良いと思うのですが、全て見るのは結構時間がかかりますので、面白いコンビだけみたいなあという方のために、主観ではありますが僕の意見でも参考にしてみてくれるとありがたいです。



では、僕が一見の価値あり!と思ったコンビを順に紹介していきます。

Aブロック
天使と悪魔 ★★★☆☆
決勝進出することはあまりないが、M-1ではコント師の漫才が見れることも楽しみの一つであります。漫才かどうかはわからないが新しい視点で面白い。


Bブロック
メトロクラフト ★★★☆☆


デニス ★★☆☆☆
デスペラードマテンロウと並ぶ外国人枠。3組とも外国人という強みを活かしていて非常にクオリティが高かったです。


Cブロック
ミルクボーイ ★★☆☆☆


マキシマムパーパーサム ★★☆☆☆


トンファー ★★★☆☆


Eブロック
エリートヤンキー ★★★★☆
ここまでの出場コンビで一番出来が良かった。正直、ここまでは面白いけど決勝へ行くレベルではないな、という感想でしたがこのあたりから現実味が見えてきます。


ブロードキャスト ★★★☆☆


えんにち ★★★☆☆


Fブロック
アームストロング ★★★★☆
コント師なので新しいネタを作らないのか、毎年似たようなネタなんですが徐々にクオリティが上がっており今年はかなり仕上がってました。もし来年M-1があったならば決勝進出候補といえただろう。


Gブロック
天狗 ★★★☆☆


ハイキングウォーキング ★★★★★
仕上がり抜群! テンポも最高で思わず声出して笑ってしまいました。テレビで人気があるコンビは本ネタがおろそかになりがちですが、実力を最大限出し切っていた。


かまいたち ★★★★☆


Hブロック

プラスマイナス ★★★★☆
 
天竺鼠 ★★★★★
こんなネタは彼らでないとできないでしょう!漫才とかコントとか関係なく彼らのやることは面白い。時代の一歩先を行ってる感がある。


ジャングルポケット ★★★★☆
うーん。コント師が頑張ってますね。というか漫才やった方が面白いんじゃないかと思わされます。ネタの構成もいいし、時間の使い方も、テンポもいい。


ギンナナ ★★★★☆
元・ハローバイバイの金成さんのコンビです。さすがに実力ありますね。単なるボケで笑わせるだけでなくネタの構成が面白い。ちょっとやそっとで出来るもんじゃない。


Iブロック

とろサーモン ★★★★☆
なんだかんだで決勝行くことがなかったですね。おそらく毎年、準決勝で15位くらいには入ってるはずなんですけどね。今年もその実力はいかんなく発揮いされてました。もっと出演順が後でもいいかなと思いました。


平成ノブシコブシ ★★★★☆


チーモンチョーチュウ ★★★★☆


マヂカルラブリー ★★★★★
決勝でみたい!って思わせるぐらい完成度高い。新しい漫才しますよね、彼らは。審査員にはこういう攻めた漫才を決勝へいかせる勇気がほしかったです。ジャルジャルみたいな賛否両論ある漫才を選ぶなら、こういう漫才として新しいコンビを選んでほしいというのが個人的な意見。 


Jブロック

POISON GIRL BAND ★★★★☆


ウーマンラッシュアワー ★★★★☆


我が家 ★★★☆☆
 

Kブロック

モンスターエンジン ★★★☆☆
笑わせたいところで観客が笑わない、といった印象。漫才としては上手いんですけどね、一番大事な笑いの量が足りないのか。
 

囲碁将棋 ★★★★★
★が5じゃ足りん!!7個ぐらいつけたい!!いやーー、なんで決勝いかなかったんですかね。僕が審査員なら100%選んでる。漫才のストーリーでここまで笑いがとれるのは決勝いったコンビ含めて他にいないです。イチオシです!ぜひ見てください。





以上、僕が選ぶ見る価値あり!の敗者復活戦のコンビでした。


また、今回は配信されていないコンビの中にも必見のコンビはたくさんいました。
デスペラードLLRロシアンモンキーブレーメン・千鳥・磁石・東京ダイナマイト・ゆったり感・タイムマシーン3号、などです。


磁石・東京ダイナマイト・ゆったり感・タイムマシーン3号に関しては決勝当日の生配信でも今回の配信でも公開されませんでしたが、実力があるのは確かでありますし、敗者復活戦でもかなり後半の出順なので面白くないはずはないでしょう。
個人的にはゆったり感が見たかったなと思います。噂では、囲碁将棋と同様に準決勝が終わった直後は決勝確実と言われたらしいですからね。

見ることのできなかったネタについてはDVDが発売されるまで我慢しましょう。





(芸人さんの実情もよく知らない私が知りえる情報だけを考慮して書いた文章ですので、至らないところや的外れなところもあるかとおもいます。一人のお笑いファンが個人的な観点から考えた分析だと理解してくれると助かります。また文中に登場する芸人さんの敬称を略しておりますことご了承ください。)



 

M-1 2010 決勝戦 その2

前回の更新から少し時間が空いてしまいましたが、M-12010の決勝戦について前回では述べられなかったことについて言及していきたいと思います。

今回はM-12010で依然に比べて改善された点を発見しましたので挙げてみます。


それは「漫才中は常に漫才を画面に映し続けていたこと」です。


今までは漫才中に審査員の表情を映したり、観覧席に来ている芸能人を映したりしていました。
正直これには腹が立っていたので今回は漫才だけに集中できて楽しかったです。

これまでのM-1決勝は、審査員や芸能人を画面に映すことが非常に多く、一番やってはいけない「漫才中のボケを撮り逃す」なんてこともありました。(2006年チュートリアルのネタ)
今更じゃなくてもっと早い段階で対処できただろうとは思いますが、「最後だからもういいか」とはならずに実行に移してくれたという点で非常に意味があったことだと思います。


まず、審査員の表情について。

これは映す必要がないといえばウソになると思います。やはり視聴者の人は観客の笑いだけでなく、審査員にもウケているのかが気になりますからね。
今回は画面の左下にワイプで審査員の表情を常に映していました。漫才の邪魔にもならず自然に審査員の表情も伝わる。とてもいい改善策だと思います。


そして、芸能人を映すことについて。

今までのM-1では観覧に来ていた芸能人をまるで来ていただいたかのように扱ってました。ほんとにお笑いが好きで最高の漫才を生で見たいという方もいらっしゃったとは思いますが、正直言って、テレビに映って名前売りたいだけだろって感じのアイドルとかもいっぱいいました。
そんな人たちの表情映すためにわざわざ漫才中の画面を切り替えていたんですね、今までは。
ところが今回は、本番が始まってからは一切芸能人の方は画面に映らず、漫才の邪魔になることもありませんでした。
言ってしまえば、それが当たり前なんですよね。漫才の大会であり、主役は芸人たちなのですから。
テレビ関係者からすれば、そう簡単なことではないのかもしれませんが、やはり本質を忘れてはいけないと思います。
その点で今回は非常に満足できました。指摘してくれた、実行してくれたテレビ関係者の方に感謝したいです。


芸人さんたちが必死になって、場合によっては命削るぐらいの気持ちで掴み取ったM-1決勝のキップ。
どの漫才師も自分たちの漫才が一番面白いという評価がほしいと思っているでしょう。それは当然、威厳ある審査員の評価を求めるものではありますが、世の中の人たちにも自分たちの存在を自分たちの中の一番の漫才で知らせめたい、と思っているのではないでしょうか。
漫才とは難しいもので、上手い漫才であればある程、少しでも見逃すとその本来の面白さが伝わらないものです。
漫才師たちは、自分たちの漫才が常にそのような視線で見られることを考慮して、あらゆる動作、あらゆる間(ま)を緻密に構成しているのです。
漫才中に、画面を切り替えることはそんな彼らの努力を無視しているばかりか、最高の漫才を披露するというM-1の本質にも背くものであるはず
だからこそ、今回のこの点に関する改善は評価すべきであると思いました。

M-1 2010 決勝戦 その1

ついにM-12010が終わってしまいました。
優勝笑い飯
私個人的には、笑い飯ファンとしてM-1ファンとして納得の優勝者だと思います。


今回はM-1本番についての感想を中心に色々と考えてみたいと思います。


本来はM-1終了の直後にでもブログを書きたかったのですが、あまりにも書きたいことが多すぎて頭が混乱してしまい、こんなタイミングになってしまいました。
そして、書きたいことをすべて書くとすごく長い文章になってしまうので、

今回は各コンビのネタとその得点について触れたいと思います。





カナリア


一言でいうと、はやりトップバッターのハンデが厳しかったんではないでしょうか。
もともと彼らの漫才はトップ向きではないですし、今回のネタに関してもツッコミの少ない(わざとツッコまなかった)変化球タイプの漫才だったのでいまいち笑いの量が伸びなかったという感じがしました。
ツッコむべきところであえてツッコまないような、王道的な漫才のリズムからあえてずらすという技術はツッコミがバシバシ決まってテンポのいい漫才の後じゃないと冴えないんじゃないかと思います。
ただ、一昨年、昨年と対M-1用に普段やっている形式と少し違うネタを仕上げてきてたのに、今年は比較的普段のカナリアの漫才に近いものだった気がします。決勝へ行くためにはどうしたらいいか試行錯誤して最終的に自分たちのいつもの形、歌でくるあたりがカナリアらしくてよかったと思いました。また、結果は奮いませんでしたが終始楽しく、決勝の舞台を楽しんでたのがすごく伝わってきてこっちまで幸せな気分になりました。




ジャルジャル


コントネタでなくてよかったと最初に思いました。まあ厳密にいえば彼らはコントと同じ発想・作り方で作ったネタだと思うのでコントに限りなく近いといってもいいですね。審査員の得点のばらつきにも見られるように漫才としてみると疑問が残りました
ただ、純粋な漫才師とは違う発想のネタであり、漫才の大会ということを度外視してみると十分面白いものだったのではないかと思います。ですが、この大会がM-1だということと漫才に全てをかけて真正面から挑んでくるものたちの存在を考えると、私はそちらのコンビたちに席を譲ってあげたかった気もします。
中田カウスさんが79点という厳しい点数をつけたことからも漫才の形としては不完全、本来の漫才ではないということでしょうか。カウスさんも笑いとしては面白かっただけに採点が難しそうでした。




スリムクラブ


ダークホース、M-1でいうところの麒麟枠に属してたコンビでしたが、最高の結果を残したといっても過言ではないでしょう。結果的には一番M-1を盛り上げたコンビではないでしょうか。
最初からかなり視点の違う漫才だということは理解していたつもりでしたが、さらにそれを上回ってましたね。度肝抜かれました。
近年、ボケの量を増やしてスピーディーに展開する漫才が増える中、その逆をいく漫才で高評価を得たことは非常に意味があることだし、その勇気は称賛に値するものです。おそらく史上もっとも口数、ボケの数が少ない漫才だと考えるとさらに興味深いですね。
また、審査員の得点の付け方として、笑いの量+技術点という構図が当てはまると思われるのですが、スリムクラブのネタは技術点は低いと思うんですよね(あれだけテンポを下げて漫才できるのももちろん技術ですが、オーソドックスな漫才技術ではないという意味です)。その中であれだけの高得点を叩き出したのは文句なしに、ただただ面白い、笑いの量がずば抜けてたといえるでしょう。




銀シャリ


個人的には大活躍するんじゃないかと思っていたんですが、スリムクラブの後という出番順が悪いほうへ出ましたね。
カナリアジャルジャルスリムクラブと邪道(カナリアは邪道というほどでもないが正統派ではない)の漫才が続く中、ど真ん中直球勝負のネタが審査員ウケすると思っていましたが、スリムクラブが大躍進した結果、そううまくはいかなくなりました。
様々な賞をかっさらってきた、お得意のスタイルの中でも最もできの良いネタの一つであったが、観客との一体感が出ずテンポも自分たちの最高のものが出せてなかったような気がしました。僕個人の主観ではもっとウケていいと思ったんですが、意外とお客さんの笑いが少なかったですよね。




ナイツ


変化というほどの変化がなかったというのが僕の印象です。
ヤホー漫才の代表される言い間違いを訂正していくというスタイルは2008年大会の時点では大きな評価を得たものの、何度も通用するものではありません。
自身たちも十分に理解しているであろう今後の大会はスタイルを変革させる必要がありました。昨年の大会でもそのスタイルチェンジは、僕個人からみても審査結果からみても劣化部分(簡単にいえば新鮮さの欠如)を補うに足りなかった。
そして今年もその二の舞になった感があります。前半で布石をまき、後半回収。よくあるパターンではあるが、ナイツのすごさは布石でもしっかりと笑いがとれるところ。だが、審査員の期待を超えるまではいかなかったというのが事実だろうと思います。




笑い飯


貫禄の漫才。
特に1本目のネタは今大会で一番の出来。ボケの発想が常軌を逸している。
昨年の鳥人ハードルが上がっているにもかかわらず審査員をがっかりさせない漫才を安定してできるのは実力がある証拠。
最終決戦について、明らかに1本目のほうが面白いのだが2本目のネタで優勝したことをかんがみるとこう考えられる。1本目のネタはM-1用に仕上げたネタ、2本目のネタはテレビなどでも披露していた比較的汎用性の高いネタである。他のコンビのネタはほとんどがそれぞれのコンビの最高クラスのネタ。笑い飯のネタ同士で比べると、1本目よりも2本目のほうが面白くないという風に見えてしまうが、1本目は笑い飯の中でも最高クラスのネタ、2本目は笑い飯の中で平均クラスのネタである。
つまり、笑い飯の平均クラスのネタは他のコンビの最高クラスのネタと同等。こう考えると笑い飯のすごさが伝わるのでは。
とにかく、漫才師としては最も優れているのは間違いない。ただ、だからといって簡単に優勝できないのがM-1。自分たちが一番よくわかっているはずです。だからこそ、ホントに優勝は嬉しかったでしょう。おめでとうございます。長年応援してきた甲斐がありました。




ハライチ


ナイツで述べた時と同様に、やはりスタイルチェンジがネック。一つ一つのボケとノリが単発であった昨年と違い、一つのボケを前のボケに絡めるような流れを増やし、ネタに深みがでたのは確か、笑いも増えたのは確か。だがやはり、期待を超えてはこない。全体として見たときに「ああ、やっぱり面白い」という確認になってしまったのではないでしょうか。
ストーリーがある漫才とそれがない漫才では、後者のほうがどうしても単発のボケになりがちです。笑い飯もどちらかというと単発ボケなのですが、彼らに比べるとハライチは一発が軽いです。そこをなんとかして補おうとしていましたが、不完全だったというしかないでしょう。十分面白いのですが、それでは通用しないのがM-1なんですよね。あれだけおもしろい漫才を酷評しないといけないなんて厳しい世界です。



ピース


コントだけでなく漫才の実力もある。それを十分見せつけたのは確かではあるが、M-1決勝ということを考慮すれば無難な漫才となってしまった感じがします。比較的得点が伸びやすい8番目の出演順ということを考えると、終始笑いはあったものの一撃の重さに欠けた、爆発がない分得点が伸びなかったと思います。
また、ピースに関しては実はこんな話があります。トータルテンボスの大村さんが綾部さんに「キングオブコントで準優勝、M-1でも大活躍するつもりか!」と声をかけると「無理ですよ、無理。だってネタがないんですもん。」と返しました。実際、今年のネタは一昨年(もしかしたら昨年かも)にもM-1予選で披露したネタです。まあそれだけなら良いのですが、一番問題なのはその状態からほとんどネタに手直しが加えられていないこと。今年決勝に行けるんだったら前の段階でいけてるはずです。
本人たちの技術がアップしたから?一昨年も十分上手かったですよ。
つまり、今年勢いのある芸人だからという選考理由ですよね。審査員に対して憤りを感じます。
このような処遇を受けると本人たちが一番損すると思うんですよ。自分たちが納得いってないネタを大舞台で披露しなくてはいけないんですから。もし失敗したら恥をかくのは本人たちです。かといって若手の彼らがネタがないからといってM-1に出ないなんてのも体裁が悪いですから、審査員がしっかりと見て対処しないと。別に、ピースを非難してるわけじゃないんです。僕は芸人さんはほとんどみんな好きですし、ピースは特に大好きです。だからこそ、決勝へ行く必要はなかったと感じました。




パンクブーブー


正直、あの敗者復活には「またか」という思いがありましたが、ネタを見れば黙ってしまいました。やっぱり圧巻の面白さですね。特に面白いことを言ってるわけでもなく、あのくらいのネタ構成なら簡単そうに見えるのですが、技術がハンパない。流れるような会話の中に抑揚がはっきりとついていて笑いどころがわかりやすく、しゃべりのテクニックもあるので聞いていて飽きない。ストーリーのある漫才の王道であり最高峰であると感じます。
ただ、一言。なぜ敗者復活なのか。あれだけのクオリティがあれば正面突破で決勝進出してるはずだと思うんですが。
なんか予選審査員の意図がわかりませんねぇ。
まあそれだけ実力のあるパンクブーブーでしたが、最終決戦でネタチョイスを失敗しましたね。さすがに同じパターンでは…。
後から聞くと、最初からあのパターンで今年はいくと決めてたようですから、結果論になってしまいますが。
とにかく王者としての実力は十分に示しました。そして同時に2連覇の難しさも示すこととなりました





以上で各コンビに対する感想を終わります。

また後日、【その2】を書きますのでよろしければご覧ください。



(芸人さんの実情もよく知らない私がが知りえる情報だけを考慮して書いた文章ですので、至らないところや的外れなところもあるかとおもいます。一人のお笑いファンが個人的な観点から考えた分析だと理解してくれると助かります。また文中に登場する芸人さんの敬称を略しておりますことご了承ください。)

敗者復活戦

敗者復活戦に臨む漫才師たちを出番順に紹介します。



グリーンランド三四郎・ラフ次元 ・あどばるーん土佐駒・どぶろっく・天使と悪魔・スマイル・ダブルネーム・メトロクラフト・デニス・シャイニングスターズ初恋クロマニヨン・ななまがり・デスペラード・ミルクボーイ・マキシマムパーパーサムトンファーマテンロウ・和牛・セルライトスパミサイルマン・ソラシド・エレファントジョン・井下好井・ボルトボルズダブルアートエリートヤンキー・ブロードキャスト・LLRえんにちトレンディエンジェルギャロップ・アームストロング・三日月マンハッタン・ボーイフレンド・お湯・天狗・ロシアンモンキーブレーメンハイキングウォーキングスーパーマラドーナかまいたち・プラスマイナス・天竺鼠ジャングルポケット風藤松原・バース・ギンナナ平成ノブシコブシとろサーモン笑撃戦隊チーモンチョーチュウ・千鳥・マヂカルラブリープリマ旦那・POISON GIRL BANDウーマンラッシュアワー・我が家・アーリアン・磁石・東京ダイナマイト・ゆったり感・タイムマシーン3号モンスターエンジン囲碁将棋・パンクブーブー



さて、今回はM-1グランプリ2010決勝戦での残る1枠を争う敗者復活戦の動向を考察し、ある程度の予想してみたいと思います。
この出演順を見てまず思ったのですが、おそらくこの順番はランダムで決めてないですよね。昨年までは本番当日に出演順を決めていたはずですし、明らかに実力者が後半に偏ってますよね。パンクブーブーがラストなんてのもにくい演出でしょう。準々決勝・準決勝での出来ばえを参考に決めたものと思われます。


このシステム変更、私は大賛成です。
その理由をいくつかあげてみましょう。


まず覚えてほしいことを列挙します。


1、審査員は敗者復活として勝ち上がるコンビの見当をつけている。(理由:今までの予選を見ているはずなので、どのコンビがどのネタをするのか・どれくらいうけるのかがわかっているから)
2、出順が1〜10番目くらいのコンビが残る確率はほぼ0。(理由:後述の3.4より)
<1,2は私の考えであり、確かな情報ではありません。>

そして、総勢60組以上がネタをするわけですからかなりの時間がかかりますので
3、会場が盛り上がるには時間がかかる。
また、全ての客が常に席についているわけではない
4、特に、開始直後は客の入りが間にあっておらず空席が目立つ。



これらを考慮すると
「決勝にのぼる確率が低いコンビを前半に置くことで、客が集まるまで時間を稼ぎ、なおかつ、会場を盛り上げる。」
敗者復活戦というイベントがスムーズに進むためにはこの条件は必要不可欠に思われます。
そのために今回の出演順は前半には捨石(言い方が悪いですが)、後半に主力という構図になっているんだと思います。


そうなると前半に置かれるコンビはかなり理不尽な不利益を受けていることになりますので、当然不公平だという意見もあるでしょうし、実際に不公平です。
ですが、私の考えではこの点については全く問題ありません。


理由は大きく括ると1つだけ。


「敗者復活戦だから」
内容に触れますと、敗者復活戦とは一度敗れ去ったものにチャンスをあたえる闘いであり、元来、敗者復活の席はおまけにしか過ぎません。
しかし、近年特に2007年以降は敗者復活枠から常に最終決戦進出者が登場し、M-1にとって不可欠な要素となっています。
だからこそ、敗者復活で決勝へいくコンビは最高のパフォーマンスができるコンビを厳選しないといけないのです。そのためには、あらかじめ実力のあるコンビを選出しておき、よい出演順をあてがう事は理にかなったことであります。


さらに、私の個人的な意見としては、もし仮に準決勝の時点で真に上位の8組を決勝進出者として選ぶことができたのであれば、敗者復活の枠には敗者復活戦で最も面白かったコンビでなくともよい、とも思っています。準決勝で真に上位の8組が決勝に進出できるのであれば、残ったコンビは形式上・事実上ともに落選確実であり、そこで一度決勝へ行く権利を完全に失っているわけですから敗者復活戦で不公平な審査をされても文句は言えないはずだと私は考えるからです。(実際に上位の8組が決勝に行くなんてことは難しいので、この仮説は成り立たないですが…)


要するに、準決勝で負けているわけなので何されても仕方ないということです。
ついでに言いますと、敗者復活戦が行われる「大井競馬場」は舞台の後ろで馬が走っていて客がよそ見をしたり、撮影用のヘリコプターの音がうるさくネタが聞こえなかったり、西日がまぶしくて客が目を閉じたりすることがあり、全てのコンビが同じ環境の下で漫才をするなど不可能、はなから公平に審査するつもりはないのです。





さて、そろそろシステムについての話を切り上げて、予想に移ります。
やはり後半の出場組、具体的には「天狗・ロシアンモンキーブレーメン」以降が有力ではないでしょうか。
前半にも実力者がちらほらいますが、出演順的に厳しいのではと思われます。(スマイル、ギャロップ、アームストロングなど)


さらに細かく区切ると、
スーパーマラドーナかまいたち・プラスマイナス・天竺鼠というbase芸人ラッシュ。
チーモンチョーチュウ・千鳥・マヂカルラブリープリマ旦那・POISON GIRL BANDという流れ。
プリマ旦那以外のコンビはいずれも前回までの敗者復活戦で決勝進出寸前までいったことのあるコンビです。(あくまでも主観です)
ネームバリュー的にもうけないはずがないコンビですから、この流れにプリマ旦那がノることができれば彼らも候補内でしょうし、ノりそこなえば後のPOISON GIRL BANDに反動として大きなチャンスが巡ってくるのではないでしょか。
そして最後の、磁石・東京ダイナマイト・ゆったり感・タイムマシーン3号モンスターエンジン囲碁将棋・パンクブーブーの流れ。
いわずもがなの最強メンバーじゃないでしょうかね。


かなり高い確率でこの流れから残る1枠が決まるでしょう。
まあこれだけビッグネームを挙げてしまうと、そりゃ高確率で当たるでしょうな。
逆に、これだけわかりやすくM-1サイドが出演順を並べ立てたのにもかかわらずそれ以外のところから決勝進出者が生まれるのであれば、それは出演順を考えたM-1関係者が見当違いだったという事になります。それに乗っかった私も当然見当違いです。
一応個人予想として名前を挙げると千鳥・POISON GIRL BANDですかね。8割以上願望ですけど。






以上で敗者復活戦考察を終わります。


(芸人さんの実情もよく知らない私がが知りえる情報だけを考慮して書いた文章ですので、至らないところや的外れなところもあるかとおもいます。一人のお笑いファンが個人的な観点から考えた分析だと理解してくれると助かります。また文中に登場する芸人さんの敬称を略しておりますことご了承ください。)

精鋭8組終結

M-1グランプリ2010・決勝進出者が決定しました。
銀シャリピースカナリアジャルジャル・ハライチ・笑い飯・ナイツ・スリムクラブ
赤色で示したコンビは私が決勝進出を予想していたコンビです。
さて今回の決勝進出者を見て一番に思うのは、やはり初決勝コンビの多さです。
銀シャリ・ピース・カナリアジャルジャルスリムクラブの5組。
千鳥やPOISON GIRL BAND東京ダイナマイトパンクブーブーなどが落選しています。特に、千鳥・POISON GIRL BANDが落ちたのは個人的に非常に残念です(とはいっても敗者復活が残っていますが)。近年のM-1細かいボケとツッコミのテクニックが重視される傾向があるようなので、彼らのように独自のテンポと視点を武器にするコンビは多少不利なのではと感じます。
その中で注目したいのが、カナリアスリムクラブ
カナリアはおそらく歌ネタ。スリムクラブは独特の沖縄なまりの節回しが魅力です。千鳥・POISON GIRL BANDのように細かいテクニックよりもネタの発想で勝負する彼らが決勝に残ったことは大きな意味があるでしょう。
そして、もうひとつ。この8組を見て最も興味深い点は「コント師」の台頭です。
ジャルジャル・ピース・スリムクラブ。この3組は他のコンビとは違い、漫才よりもコントをメインにしているコンビといえます。これまでにも、サンドウィッチマンのようにコント師M-1を(いい意味で)かき乱すことはありましたが、今回の3組という数はかなり多いのではないでしょうか。ここでもう一つ補足をすると、M-1ではピースは漫才用のネタをしあげてくるのに対し、ジャルジャルスリムクラブはおそらくコントのネタを漫才に書き換えると思われます。これには非難の声もあるでしょう。「漫才の大会なのだから、正真正銘の漫才ネタで勝負しろ」と。私もその考えには共感できます。ですが、コントネタを漫才ネタに書き換えると確実にそのクオリティは多少なりとも下がるはずです。そのクオリティの落ちたネタで決勝に進出することができるほどであるなら、そんなすごいネタを作れるコンビの勝ちなのではないかと考えることもできます。ですから「面白いもん勝ち」この一言に尽きるんじゃないでしょうか。

少し話がそれてしましました。軌道修正しましょう。
ネタ順と同じ順番で、各コンビの見どころと印象を考えていきたいと思います。
カナリア
一昨年あたりからM-1用のネタの仕上げ方が格段に上達してきたコンビであり、今年の結果は順当であると思います。
先ほど触れたように、歌ネタを中心にボケの安達さんの「ええ声」が特徴的な心地よい漫才をするコンビです。
ただし、ネタ順が一番ということで「変化球」タイプのカナリアには大きなハンディキャップとなるかもしれません。

ジャルジャル
大阪発・人気若手コント師。去年までのM-1でのネタをみると、どうも今回の決勝進出は納得がいかない。僕の予想以上にM-1に適応させるの技術がアップしたということなのでしょうか。大勢の人が感じるように、人気のあるコンビで視聴率を取ろうという考えもなくはないと思います。ですが、それはそれで僕は非難しません。前々回のブログで述べたようにM-1では公平な審査がなされるべきなのは当然ですが、このイベントは「TV商業」であり「ボランティア」ではないのです。ネームバリューがあるコンビが決勝に出やすいというのも当然と言えば当然です。ただどれだけネームバリューがあっても、決勝進出してもおかしくないと思えるほどネタがウケないと決勝へは絶対にいけないはずですから、今回はそれだけネタがウケたんでしょう。軽視している僕をギャフンと言わせるほど面白い漫才を期待します。

スリムクラブ
まさに今回のダークホース。知る人ぞ知る実力者です。彼らの当選で、はやり面白ければ知名度は関係ないんだと思わされました。テレビでネタを披露する機会もあまりなく、どんなコンビでどんなネタかまったくわからない。M-1にとってこれほど有利な条件はないでしょう。8組の中で最も注目してほしい、注目するに値するコンビだと思います。心配な点としては、POISON GIRL BANDの独特の世界観がM-1決勝ではあまり高い評価が得られなかったように、彼らも独特の世界観がありますので審査員にそれがどう映るかということでしょうか。

銀シャリ
baseよしもとのリーサルウェポンとでもいうべき逸材です。近年、大阪で賞を総なめにしてきた彼らがついにM-1の舞台へ上がります。生粋のしゃべくり漫才でこれぞ上方漫才という素晴らしいネタを期待します。言葉の選び方・話し方・声のトーンなど、しゃべくりに関して言えばどのコンビよりもセンスを感じます。私が思うに、審査員にもこの技術はそうとうな評価を受けるのではないでしょうか。また、ネタ順もいいので非常に活躍が楽しみなコンビです。(ただし、M-1ジンクスでは4番という出順は悪い)

⑤ナイツ
3年連続決勝進出の常連コンビ。前年ではヤホー漫才以外で勝負し、まだまだのびしろがあることをアピールした。ただやはり、「言い間違い」漫才はかなり固定化した形式であり、審査員・観客ともに彼らの面白さを理解している点において不利であることに間違いありません。私の個人的な意見としては、もっと違う形の漫才を見せてほしいです。去年のM-1では一昨年と比べてどれだけ進化しているのか楽しみにしていたのをあっさり裏切られた気分になりました。というのも結局、言い間違いを訂正していくというスタイルに終始し、新しいものが見えなかったからです。あれだけの漫才の実力があるのだから、もっと何かできるだろうと、そう考えてしまいました。今年こそは、真の力を見せつけてほしいと思います。

笑い飯
生きる伝説Mr.M-1。様々なM-1伝説を残してきた彼らも今年でラストイヤーです。Wボケという発明は現在の若手漫才師やNSC生に至るまで、計り知れない影響を与えています。しかし、そんな素晴らしい発明も人間と言うのは恐ろしいものですでになれてしまいました。もう笑い飯は終わりかもしれない、という考えを多くの人が抱く中、去年その不安を一気に拭い去るような最高のネタを披露。彼らの底力のハンパなさをお笑いファン全員が目の当たりにしました。そして、今年すべてのM-1人生に最高の終止符を打つべく決勝の舞台にやってきます。優勝候補筆頭、地力だけでいえば他を寄せ付けないのではないでしょうか。

⑦ハライチ
2年連続の決勝進出。ノリボケ漫才としてツッコミのない漫才をします。実は前例からみると、ツッコミがないもしくはツッコミがゆるい漫才は評価されにくいという傾向があります。しかし去年、ノリボケ漫才はそれに当てはまりませんでした。本人たちが勢いに乗れば乗るほどヒートアップしていくという印象があり、固定的なネタ構成もフレーズを厳選することで無限に広がります。芸歴も浅く、年齢も若い彼らが、去年の決勝の舞台で何を学び何を感じたか。それを今年ぶつけるということになるでしょう。

⑧ピース
M-1において着々と実力を伸ばし、今年のキングオブコントでは準優勝を果たしたコンビがようやくM-1決勝に殴りこみ。コント師でありながら、コントネタを書き換えるのではなく漫才ネタで勝負します(彼らのコントは漫才に書き換えにくいだけということも言えそうですが)。コント・漫才の両方でトップクラスということは彼らのお笑いの実力が卓越していることを物語っているでしょう。最近、TVにひっぱりだこの彼らですが、少ない時間でネタを仕上げてここまで登ってきたことは素晴らしいと言えるでしょう。今年最も勢いのある若手芸人として、舞台で輝いてほしいと思います。




以上で8組の見どころ・印象についての考察を終わります。
誰が勝ってもおかしくない、予測不可能な大会になることは間違いなさそうですが、さらにもう一点「敗者復活」を忘れてはいけません。敗者復活を勝ち残ったコンビが大会を大きくかき乱す可能性は非常に高いはずです。



さて、ここで今回のネタ順で気になった点をいくつか考えてみたいと思います。

1つ目:1〜3順目までが正統派漫才ではない
カナリアスリムクラブは自分たちの個性を生かした独自の漫才をし、ジャルジャルはおそらくコントネタでくることを考慮すると、最初の3組までは正統派漫才ではないと考えることができます。となると次の出順である、正真正銘・上方漫才の後継者「銀シャリ」のレベルの高い正統派漫才が審査員に高い評価を受ける可能性は大きいと思われます。

2つ目:4→5への流れ
4番目「銀シャリ」5番目「ナイツ」この流れはかなり重要で奇妙なポイントとなりそうです。彼らのネタは発想が非常によく似ているのです。ボケの言い間違いをツッコミが直す、この形が彼らの漫才のアイデンティティであり全てです。ただし、決定的に違う点もあります。それは、大阪漫才か東京漫才かということです。正確に言うと、ナイツはボケの言い間違いで笑いをとり、ツッコミでさらに追い打ちをかけるような形をとるのに対し、銀シャリはボケで笑いを喚起し、ツッコミで爆発させるという形をとります。ナイツはボケ>ツッコミ、銀シャリはボケ<ツッコミです。銀シャリのネタはツッコミを非常に重要視する大阪の感覚に適合した形といえるでしょう。この2組が連続で登場するため、後発であるナイツは否応なしに前組である銀シャリと比べられます。点数に大きく響くことになりそうです。

3つ目:ハライチの心情
7順目という良い出順を引いたハライチですが、問題点が一つ。去年のトラウマを思い出させる笑い飯の直後出番なのです。去年の決勝では笑い飯が超高得点を獲得し、気持ちの整理がつかないまま出番を迎えました。ですが、彼らの心理はそれほどに悪い状態ではなかったでしょう。なぜなら、あまりにも急なことで気持ちの整理をする余裕もなく、何も考えずにただ自分たちの漫才を最高のものにしてやろうとがむしゃらになることができたからです。ネタ直後のトークでも「逆に緊張感がとれた」と語っていました。しかし、今回は違います。M-1決勝が始まる前から、いや、ネタ順が決まった直後から、彼らは笑い飯という大きな壁を常に心のどこかで意識しなければなりません。常に心の中では笑い飯対策に終始しなければならなくなります。この心理状態で最高のパフォーマンスを発揮するのは至難の業ではないでしょうか。




以上が私が気になった点です。
このネタ順を考慮すると、④銀シャリ笑い飯⑧ピース、あたりが実力と合わせて考えても優勢かなと思います。
当然、当日に最高の仕上がり状態で臨んでくる「敗者復活枠」も脅威となることは間違いないでしょう。

様々な考察をしてM-1の裏側をのぞいてきました。表には出さない隠れた要素を知れば知るほどM-1を楽しく見ることができるでしょう。しかし、M-1を楽しく見るためにはやはり、フラットな状態で、一観客として、公平な立場で見ることが一番ではないでしょうか。
誰かの応援をすると、そのコンビの点数が悪かった時、他のコンビが上回った時に落ち込んでしまいますからね。
純粋に、芸人たちが1年をかけて最高に仕上げた漫才を、笑いを、心から楽しむ。その気持ちが必要ではないでしょうか。



(芸人さんの実情もよく知らない私がが知りえる情報だけを考慮して書いた文章ですので、至らないところや的外れなところもあるかとおもいます。一人のお笑いファンが個人的な観点から考えた分析だと理解してくれると助かります。また文中に登場する芸人さんの敬称を略しておりますことご了承ください。)

M-1 準決勝進出者決定!!

激闘を制した総勢24組を紹介します!
アーリアン、マヂカルラブリーウーマンラッシュアワーピース笑撃戦隊囲碁将棋カナリア銀シャリ、磁石、ジャルジャルスリムクラブタイムマシーン3号チーモンチョーチュウ千鳥東京ダイナマイト、ナイツ、ハライチ、パンクブーブープリマ旦那POISON GIRL BANDモンスターエンジンゆったり感、我が家、笑い飯

色が付いているコンビは、準々決勝進出者75組の中から決勝へ行く確率が高いと私が予想したコンビです(twitterで公に発表しました)。なんとその時予想した11組中11組(9組絞っていないのは期待するコンビが多すぎて絞り切れなかったから)、つまり全組が準決勝へコマを進めました!自分でもびっくりです。
笑い飯パンクブーブーなどM-1で実績を残しているコンビは誰でも予想すると思いますが、今回の予想のキーポイントはM-1決勝経験のないコンビの台頭でした。名をあげると、銀シャリ囲碁将棋、ゆったり感などです。特に個人的に大好きな囲碁将棋の名前が準決勝進出者のリストにあったのはとてもうれしかったです。

今回はみなさんにM-1をもっと楽んでいただけるようにこの準決勝進出者24組を考察し、決勝進出に近いのはどのコンビなのか、そして注目すべきはどのような点なのかを考えていきたいと思います。

では考察へ、ここではこの24組を大きく3つの勢力に分けてみたいと思います。
常連組 
実力者 
新興勢力

まずは常連組から
千鳥、東京ダイナマイト、ナイツ、ハライチ、パンクブーブーPOISON GIRL BANDモンスターエンジン笑い飯
簡単に言うと決勝進出経験者ですね。厳密に言うとここから更に2つにわけることもできると思います。

まず1つ目のグループ
千鳥、東京ダイナマイトPOISON GIRL BAND笑い飯
この4組は決勝進出の回数が他に比べて格段に多いこと(東京ダイナマイトは除く)、さらに重要なのはM-1の創世記から決勝へ進出しているという点で他のコンビと差別化できます。つまりこの4組はまさにM-1を支えてきた世代なのです。彼らの活躍があったからこそ、M-1はここまで世間に注目される大きな大会になったのだと私は思います。
ではこのグループの長所は何でしょうか?
それは当然、経験値ということになるでしょう。劇場や営業とは違いM-1ではどんなネタがウケるのか、それを最もよく理解したコンビではないでしょうか。
また、東京ダイナマイトを除く3組は今年がラストイヤーになります。当然、死力を尽くして挑んでくるでしょう。そして、他のコンビよりも芸歴が長いこと、これは底力の強さを表しているといえます。若手芸人にとっての2,3年はかなり実力の差を生むのではないでしょうか。
次にこのグループの短所は何でしょうか?
新鮮さの欠如。これが最も厄介でしょう。つまり観客や審査員が彼らの面白さ、ネタ構成、パーソナリティーを十分に理解してしまっているのです。見る側としては、「面白くて当然」なのです。これはかなりのハードルとなるでしょう。また、笑い飯以外の3組については、過去のM-1での結果があまり良くありません。準決勝の審査員からすると、「どうせ決勝へいっても、また下位にあまんじるんじゃないか。それならば、もっと新鮮で勢いのあるコンビを選ぼう。」という考え方ができます。決勝へ進出するためには準決勝で、文句なしにウケる必要性が高まるのです。

では2つ目のグループ。ナイツ、ハライチ、パンクブーブーモンスターエンジンです。
彼らは決勝進出した回数が少なく、なおかつ、近年での出場という点で上のグループと異なります。
彼らの長所はM-1の雰囲気を知っているということ。しかし、上のグループと比べると劣るでしょう。ですが、彼らはM-1で披露したネタ数が少ないという点である程度新鮮さが保たれているはず、と考えたいのですが、これが当てはまるのはモンスターエンジンだけでしょう。言い方が悪いかもしれませんが、モンスターエンジンは過去の決勝で下位にあまんじており大きな活躍をしていません。だからこそ、ある程度の新鮮さは残っているでしょう。彼らのネタは固定された形式ではなく、設定によって柔軟性のあるネタ構成なのでなおさらです。ここで問題となるのがナイツとハライチ。彼らのネタ形式は非常に固定的であるうえに、テレビでネタを披露する機会も数多くあったので、世間にどんなネタ形式なのかが完全にばれてしまっています。この点で新鮮さを保つのは非常に困難ではないか考えます。そして、その欠点をさらにレベルアップさせたのがパンクブーブー前年度優勝の彼らは大きな期待の目で見られること必死です。その期待をさらに上回るようなネタをするのは容易なことではありません



では次に、実力者
マヂカルラブリー、ピース、囲碁将棋、カナリア銀シャリ、磁石、ジャルジャルスリムクラブタイムマシーン3号チーモンチョーチュウ、ゆったり感、我が家。
簡単に言うと、準決勝進出経験があり、さらにそこで私が大きな期待を持ったコンビです。
タイムマシーン3号は決勝進出経験がありますが、近年ではその実力が発揮しきれていないのではと判断したのでここに入っています。
やはり、知名度がそれほど高くないコンビが多いのでは?(私は全組知っていますが)
まず注目すべきはピース、ジャルジャル、我が家、スリムクラブです。この4組が他のコンビと異なるところはコント師であることです。漫才もできるけど、コントのほうが得意というようなコンビです。しかし、そのコントの実力を漫才でも活かせるということなのでしょう。最たる例は2007年度王者サンドウィッチマンですね。個人的には、今年度最も勢いのある芸人だと思っているピース、そして世間には知られていないがかなりのポテンシャルを秘めたダークホースであるスリムクラブに注目です。
その他のマヂカルラブリー囲碁将棋、カナリア銀シャリ、磁石、タイムマシーン3号チーモンチョーチュウ、ゆったり感については昨年、一昨年あたりから決勝進出への道を着々と進んできていると思われるコンビです。銀シャリ大阪よしもと若手漫才コンビの雄といえるでしょうし、カナリアチーモンチョーチュウ囲碁将棋・ゆったり感は東京よしもとの若手でも最も決勝に近いコンビであると思っています。マヂカルラブリーは非常に個性的で、当たり外れが大きいという見解です。事実、一昨年の敗者復活戦ではかなりの爆笑をかっさらっており、敗者復活に選ばれてもおかしくないほどのネタでした。反面、昨年は3回戦で敗れました。今年、準決勝に残ったのは「当たり」だからだと思っています。磁石は「敗者復活の笑い飯と呼ばれており、8年連続で準決勝まできています。実力はそれ相応に持っているでしょう。

最後に、新興勢力
アーリアン・ウーマンラッシュアワー笑撃戦隊プリマ旦那がこれにあたります。
笑撃戦隊・アーリアンについては私でも見たことがないので何とも言えません。(笑撃戦隊はワタナベエンターテイメント所属なので、よしもと好きな私が知らないのは無理もないでしょうが、アーリアンは大阪よしもと所属なのにもかかわらず知らないのです。つまり、普段のネタはレベルの高いものとは呼びがたいが、M-1用に1,2本だけネタを仕上げる技術に長けているものと思われます。)
ウーマンラッシュアワー。彼らについては名前をご存知の方も多いかもしれません。M-1の審査委員長である島田紳助氏がテレビ番組で絶賛したコンビです。もちろん彼らは実力があることは確かですし、コンビ結成は近年なのですが、組み直しのコンビなので個々人の芸歴はそこそこ長く底力もあるでしょう。ですが私から見ると、どうもネタにむらがあるように思えます。大舞台で最高のパフォーマンスができるかどうか。そこに疑問を感じてしまします。
プリマ旦那。大阪よしもとの若手で、実力は確か。まだ若く、熟成していない感じはするのですが、準決勝まで残りました。私は非常に将来性を感じるコンビなので素直にうれしいです。失敗しなければここまで来るだろうとも思っていました。



以上が私の考察です。
私の少ない知識でできるだけみなさんにM-1をより楽しんでもらおうと思い、準決勝進出者を紹介してきました。
こうやって文章を書いている今も、すでに準決勝や決勝の結果がどうなるのかと楽しみでワクワクしています。
やはり、M-1を本当に楽しむには決勝だけでなくそこに至るまでの過程をしらないといけません。
ここまで読んでくださりどうもありがとうございました。
決勝進出者が決定したら再びこのブログでお会いしたいと思います。

(このブログは私の個人的な意見に基づいて作成されているので、間違いや的外れな部分もあるかもしれないのは承知の上です。私の意見が正しいとも限りませんので、その点をみなさんにご了承していただきたく存じます。また、ブログ内での芸人さんに対する敬称を略させていただきましたことをご理解していただくとありがたいです。)

M-1 2010へ向けて

M-1の審査というものには疑問の声が絶えないものだ。だが、僕は審査員が名だたる芸人である以上、一定の信憑性は有していると思われる。僕が話題としたいのはその華やかな決勝にいたるまでの審査システムについてである。

今年から3回戦と準決勝との間に準々決勝が追加された。当然、急激に増加するM-1参加者の数が影響しているのであろうが、僕はこのシステム変更にいささか疑問がある。いや、正しく言うと前のシステムにも疑問があったのだが、今回の変更でそれが改善されていないというのが本音だ。

まず、前回までのシステム<3回戦:会場は東京と大阪の2か所であり、それぞれ複数日をかけて日程を消化する。準決勝:会場は東京と大阪の2か所でそれぞれ1日で日程を消化する。>今回のシステム<3回戦:上に同じ。準々決勝:前回までの準決勝と同じ。準決勝:会場は東京だけで1日で日程を消化する。>

このシステムで僕が考える問題は2つある。

まず1つ目は‘客層’だ。審査の公平を保つためには日程を複数日かけて消化するのは不適当である。なぜならば日が変わると客層が変わるので、同じネタでも1日目に行うか2日目に行うかによってウケに差が出る可能性があるからである。よってできるだけ日程は同じ客層で、つまり、1日で消化するほうが公平といえよう。

2つ目の問題は‘会場の場所’だ。笑いの文化が普及し昔は大阪が本場だと言われた事実も今では無意味といっても過言ではない。‘笑い’は全国に広がった。しかし、この新世代においてもいまだ東西で笑いの感覚が微妙に異なっていることは否定できないと思われる。当然、大阪芸人は大阪会場のほうがやりやすいであろうし、逆もまた然りである。ここでいう大阪芸人・東京芸人とは彼らの出身地ではなく、活動拠点を意味している。なぜこのようなくくり方をするかというと、たとえ大阪出身で、何年か大阪で活動していたとしても、現段階で東京で活動しているのであれば、東京で売れるために東京で受け入れられるように工夫したネタを練っているはずであるからだ。つまり、ネタが東京向け・大阪向けのどちらかに偏っているということである(もちろん全国共通で同じぐらいうけるネタもあるだろう)。

1つ目の問題を考察する。客によってネタのウケに差が出るのは公平ではないことは明らかだ。だが、このシステムは前回・今回ともに3回戦までならそれほどの問題ではないと僕は考える。3回戦を突破するコンビの数は前回では約60組、今回では約75組である。これだけの数が合格するのであれば、決勝に残る可能性があるほどの漫才をすれば客の質程度は問題にしないのではないかと考えられるからだ。この問題が深刻となるのは、前回では準決勝から決勝へのキップを勝ち取る際、今回では準々決勝から準決勝へのキップを勝ち取る際である。前者の場合は8組、後者の場合は21組しか勝者が現れないわけであるが、2つの会場では客の質・数ともに異なっているので、違う会場で行われたネタを正確に比較することは非常に困難であり、誤審が発生する確率が高まる。実際、2009年に準決勝に挑戦した千鳥は自身たちでは確実に決勝進出できたと確信するほどウケたのに不合格だった、と語っている。もし、彼らが大阪会場ではなく東京会場でネタをしたとしよう。東京ではあまりウケなかったならこの審査は妥当だといえる、だがこれは確かめようのないことだ。もし東京でも大阪同様にウケていたなら、不合格は誤審といえる。このように、合格者が少数の場合は客層を一定にしないと公平な審査がほぼ不可能になる。

2つ目の問題を考察する。前回までは大阪芸人は大阪会場で、東京芸人は東京会場で舞台に上がるのが基本だった。しかし、今回の準決勝は東京会場で1日で行われることになっている。1つ目の問題点である客層の統一はこれで解決できるだろう。しかし、東京会場で行えば東京芸人が有利なのは明らかではないだろうか。簡単にいえば、東京芸人にとってはホーム・大阪芸人にとってはアウェイといった感じだ。笑いの感覚が客と共有できなければ、笑いをとることは非常に難しいと言わざるを得ない。

上記のとおり、今までもそして今回もシステムにはまだまだ欠陥があるといえる。僕個人の意見としては、準々決勝・準決勝を行う際、会場を1つに限定し、1日で日程を終了させ、なおかつ関西人と関東人の客の比率を1:1にする、というのが理想ではあるのだが、これを実行するには今以上に財政的負担・労働的負担など形而下の負担が増えることは必至であるし、何より何をもって関西人と関東人を区別するのか、大阪と東京の笑いの感覚の境界線とはどこなのかなど形而上の問題もあるので、完全な公平を期した審査というものは求めれば求めるほどに遠く感じる。だが、芸人たちが必死に、はたまた命をかけて挑戦するM-1という一大イベントにおいて最高の舞台が整ってほしいと思うのは必然ではなかろうか。

追記:芸人さんの実情もよく知らない僕が知りえる情報だけを考慮して書いた文章ですので、至らないところや的外れなところもあるでしょう。おおめに見てやってください。また文中に登場する芸人さんの敬称を略しておりますことご了承ください。