M-1 2010 決勝戦 その2

前回の更新から少し時間が空いてしまいましたが、M-12010の決勝戦について前回では述べられなかったことについて言及していきたいと思います。

今回はM-12010で依然に比べて改善された点を発見しましたので挙げてみます。


それは「漫才中は常に漫才を画面に映し続けていたこと」です。


今までは漫才中に審査員の表情を映したり、観覧席に来ている芸能人を映したりしていました。
正直これには腹が立っていたので今回は漫才だけに集中できて楽しかったです。

これまでのM-1決勝は、審査員や芸能人を画面に映すことが非常に多く、一番やってはいけない「漫才中のボケを撮り逃す」なんてこともありました。(2006年チュートリアルのネタ)
今更じゃなくてもっと早い段階で対処できただろうとは思いますが、「最後だからもういいか」とはならずに実行に移してくれたという点で非常に意味があったことだと思います。


まず、審査員の表情について。

これは映す必要がないといえばウソになると思います。やはり視聴者の人は観客の笑いだけでなく、審査員にもウケているのかが気になりますからね。
今回は画面の左下にワイプで審査員の表情を常に映していました。漫才の邪魔にもならず自然に審査員の表情も伝わる。とてもいい改善策だと思います。


そして、芸能人を映すことについて。

今までのM-1では観覧に来ていた芸能人をまるで来ていただいたかのように扱ってました。ほんとにお笑いが好きで最高の漫才を生で見たいという方もいらっしゃったとは思いますが、正直言って、テレビに映って名前売りたいだけだろって感じのアイドルとかもいっぱいいました。
そんな人たちの表情映すためにわざわざ漫才中の画面を切り替えていたんですね、今までは。
ところが今回は、本番が始まってからは一切芸能人の方は画面に映らず、漫才の邪魔になることもありませんでした。
言ってしまえば、それが当たり前なんですよね。漫才の大会であり、主役は芸人たちなのですから。
テレビ関係者からすれば、そう簡単なことではないのかもしれませんが、やはり本質を忘れてはいけないと思います。
その点で今回は非常に満足できました。指摘してくれた、実行してくれたテレビ関係者の方に感謝したいです。


芸人さんたちが必死になって、場合によっては命削るぐらいの気持ちで掴み取ったM-1決勝のキップ。
どの漫才師も自分たちの漫才が一番面白いという評価がほしいと思っているでしょう。それは当然、威厳ある審査員の評価を求めるものではありますが、世の中の人たちにも自分たちの存在を自分たちの中の一番の漫才で知らせめたい、と思っているのではないでしょうか。
漫才とは難しいもので、上手い漫才であればある程、少しでも見逃すとその本来の面白さが伝わらないものです。
漫才師たちは、自分たちの漫才が常にそのような視線で見られることを考慮して、あらゆる動作、あらゆる間(ま)を緻密に構成しているのです。
漫才中に、画面を切り替えることはそんな彼らの努力を無視しているばかりか、最高の漫才を披露するというM-1の本質にも背くものであるはず
だからこそ、今回のこの点に関する改善は評価すべきであると思いました。